新婦が台湾系中国人の結婚式に出席するため、昼休みにチャイナタウンへ現金をつつむ赤い封筒を買いに行ったときのこと。オフィスに戻る電車をプラットフォームで待っていたら、向こうから大声で広東語を話す女性と、英語で返答している、同じ歳格好の男性が歩いてきた。私の側を通り過ぎる時、その男性は私に「彼女の亭主がお金持って家を出たってさ。金、金って、中国人はイヤだね〜!」と英語で言った。私は「中国語はわからないから」と言うと、その男性は「Are you Japanese?」と聞いてきた。その男性は 中国語は聞き取れるが英語しか話せないようだ。彼の話によると、中国本土から移民してきたばかりの、チャイナタウンで生活している中国人は特にお金に目がないらしい。お金のために家族どうしがいがみ合い、仲違いなどはしょっちゅうあるそうだ。「中国人に近づかない方がいいよ、金のことしか頭にないから」って言うけど、「あなたも中国人でしょ?」と聞くと、僕は ABC (America-Born Chinese) だから違う、と言った。(ちなみにJAPはもう日本人を蔑視した言葉ではない。Jewish American Princessといって、裕福なユダヤ人家庭に生まれてアメリカでわがまま放題に育てられた女性を意味する) その男性は「日本人はいいね。お金のことであれこれ言わなくて」と言った。私は「I don’t know」と言って言葉を濁す。隣の芝生は青くみえるらしい。遊ぶ金欲しさに、親や祖父母、友達、果てには赤の他人まで殺したり恐喝したりする日本人の話は、まだこの中国系アメリカ人男性の耳には入ってないのだろう。
もうひとつ、別の角度からこの出来事を見てみる。この男性のように、複数の言語を理解する人の中には、その中の特定の言語を、読み書きできないけど話せる、話せないけど読み書きできる、聞き取れるけど話せない、という人がけっこういる。前のオフィスで、日本語は話せないけど、言っていることはみんなわかるというアメリカ人がいた。試しに彼に日本語を話したら、瞬時にしかも正確に英語に翻訳してみせた。日系ブラジル人の友達の両親は、それは流暢に日本語を話すが、読み書きできないので、日本へ行った時にとても苦労したと話していた。日本語で道を訊ねても、掲示板を指差すだけで、日本語が読めないというと怒りだす日本人がいたと言う。日本で、顔が日本人で日本語を話したら、確かに誰も読めないとは思わないだろう。もしそういう人が道を聞いてきたら、怒らないで教えてあげてください。それに、アメリカに来て、誰も日本語がわからないだろうと思って、あれこれアメリカの悪いところを公共の場で話さないようにしてください。側に日本語を理解する外国人がいて、こっそり何を話しているか聞いているかもしれません。よそから来た外国人に自国のことをあれこれ言われるのは、あまり気持ちのものではないでしょうから。
September 27, 2007
September 24, 2007
ステレオタイプの日本人像
今や誰もが知っているコミュニティーサイト・craigslist.com は、洒落っ気がまったくなく、広告もいっさい掲載されていない、シンプルきわまりないサイトだが、いまでは世界中にローカルサイトを持ち、どこからでもアクセスできる。一度大手から買収を持ちかけられたが「営利目的ではないから」という理由で管理責任者はこのいい話を断った。
ここのニューヨークのサイトに、引っ越しで不必要になったものを売りに出した。ここに掲示すると、たいがいのものは24時間以内に買い手がつく。今回出したのは、大小2つのタンス、フルサイズのベッドフレームとフォームマットレス、6メガのデジタルカメラ。いろんな人がいろんな事情で私の持ち物を必要とし、たくさんの問い合わせのメールが来たので、メールが届いた順に返信した。
小さいタンスは、引っ越ししたばかりの彼女がページに乗せた私のタンスの写真を見てほしがっていたので、彼女を驚かせたいという、アイリッシュ系の優しいボーイフレンドが買い手だった。
大きいタンスは中国系のゲイカップルが、さらに値切って買って行った。
ベッドフレームとマットレスは、イタリア系のカップルがブルックリンから取りにきた。翌日ビレッジに引っ越すのだが、ブルックリンに比べるとベッドルームが小さくなるので、クィーンサイズのベッドをあきらめて、フルサイズにしようと決めたところ、私のベッドの写真が目についたらしい。「私たち、そんなに大柄じゃないから、フルで充分だし、あなたは日本人だから、変なものは売らないと思ったから」と彼女。私にこのベッドを売りに出した理由も聞いてきた。「まだ新しくてどこも壊れていないし、シミもないけど、引っ越すにあたってこのベッドが必要じゃなくなった」というと満足そうにしていた。
6メガのデジカメは、学校で出す新聞の編集委員をしている娘がほしがっているからと、その父親が買い手だった。売り手の返信メールの名前で、私が日本人だとわかると、その15歳くらいの娘は私から買うことに決めたのだと、このインド系の親子はカメラを取りにきた時そう言った。「日本人だから信頼できると思った」と言う。
これは買い手になったときにも聞かれた。ヨーロッパで購入したというデジタル一眼レフを買いたいとメールした時、他の人を保留にして最初に私に見せると、売り手のフォトグラファーは言ってくれた。
「日本人は信頼できる」というのはステレオタイプかもしれないが、そういうイメージをこれまでに作ってこられた、 外国に住む日本人の皆さんのおかげで、 私も信頼を得ることができたのだと思う。自分自身のアイデンティティがあやふやになってきたと思っていたら、日本人について、外から教えられた気がする。
ここのニューヨークのサイトに、引っ越しで不必要になったものを売りに出した。ここに掲示すると、たいがいのものは24時間以内に買い手がつく。今回出したのは、大小2つのタンス、フルサイズのベッドフレームとフォームマットレス、6メガのデジタルカメラ。いろんな人がいろんな事情で私の持ち物を必要とし、たくさんの問い合わせのメールが来たので、メールが届いた順に返信した。
小さいタンスは、引っ越ししたばかりの彼女がページに乗せた私のタンスの写真を見てほしがっていたので、彼女を驚かせたいという、アイリッシュ系の優しいボーイフレンドが買い手だった。
大きいタンスは中国系のゲイカップルが、さらに値切って買って行った。
ベッドフレームとマットレスは、イタリア系のカップルがブルックリンから取りにきた。翌日ビレッジに引っ越すのだが、ブルックリンに比べるとベッドルームが小さくなるので、クィーンサイズのベッドをあきらめて、フルサイズにしようと決めたところ、私のベッドの写真が目についたらしい。「私たち、そんなに大柄じゃないから、フルで充分だし、あなたは日本人だから、変なものは売らないと思ったから」と彼女。私にこのベッドを売りに出した理由も聞いてきた。「まだ新しくてどこも壊れていないし、シミもないけど、引っ越すにあたってこのベッドが必要じゃなくなった」というと満足そうにしていた。
6メガのデジカメは、学校で出す新聞の編集委員をしている娘がほしがっているからと、その父親が買い手だった。売り手の返信メールの名前で、私が日本人だとわかると、その15歳くらいの娘は私から買うことに決めたのだと、このインド系の親子はカメラを取りにきた時そう言った。「日本人だから信頼できると思った」と言う。
これは買い手になったときにも聞かれた。ヨーロッパで購入したというデジタル一眼レフを買いたいとメールした時、他の人を保留にして最初に私に見せると、売り手のフォトグラファーは言ってくれた。
「日本人は信頼できる」というのはステレオタイプかもしれないが、そういうイメージをこれまでに作ってこられた、 外国に住む日本人の皆さんのおかげで、 私も信頼を得ることができたのだと思う。自分自身のアイデンティティがあやふやになってきたと思っていたら、日本人について、外から教えられた気がする。
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