アメリカは人目をはばからず「アメリカはNo. 1」といい、星条旗を掲げて愛国心を形にして表現する。でも、この愛国心むき出しの行為に、アメリカ人自身が疑問を持ったことがあったことはあまり知られていない。
2001年9月11日のすぐ後だった。アメリカはテロ行為に屈しないことを世界に向けて知らしめるために、ありとあらゆる公共の場所、各家庭の玄関先に星条旗を上げた。この時、ドイツから友達が訪ねてきていて、空港が全面閉鎖され、予定通りに帰国の途につけなくなったので、ずっと私のアパートに滞在していた。二人で街を歩きながら、私たちは初めて自分たちの国について語りはじめた。
「もし同じことがドイツで起こっても、私たちはアメリカみたいに国旗で通りを埋め尽くすことはないと思う」
「私も日本がこんなふうに日の丸を揚げるとは思えない」
「でも、自分の国をここまで誇れるなんて、アメリカがちょっとうらやましい。私はドイツ人であることを誇りに思っているけど、ドイツはもっと複雑だから... 」私も同感である。日本に生まれたことをとても誇りに思っているが、それは日の丸で表現できない。
しかし、その後アメリカは過激な方向へと向って行った。「星条旗を揚げない家は非国民だ」と。いろいろなところで論争も起きた。学識のある人たちは、あえて星条旗を揚げないという選択をし「愛国心が星条旗だけで計られてはいけない」と言った。そして今、アメリカは世界からだけでなく、アメリカ国民からも自分達の国が間違った方向に向っていると批判されている (とはいえ、大統領の決断に対するものだが)。アメリカはベトナム戦争以来、初めて自分達の国を見つめ直している。軍事大国とはいえ、むやみやたらに戦争していいものか、国益のために若い兵士の命をうばってもいいのかと。
今、日本で日の丸を掲げ、君が代を歌うことをはじめとした「愛国心」を教えるという教育方針が学校教育に盛り込まれると聞いた。瀬戸内静寂さんもおっしゃっているように、愛国心ばかりは教えられない。誰かのことをむりやり愛することはできない。日本の総理はご存知だと思うが、あなたの発言は一字一句、瞬時に各言語に訳されて世界中にオンラインで報じられている。一国の総理なら「Think Globally, Act Locally」という言葉をいつも念頭に置いていてほしい。さもないと、アメリカのように日本が世界から非難を浴びる日がくる。そして被害を被るのは、総理ではなく、日本国民であるということも自覚してほしい。